人間は苦しみを捏造する
京都大学で飼われていたレオは首から下の半身不随になり、周囲のサポートでリハビリを続けました。当初その痛みの苦しみでのたうち回ったそうです。しかし、それが和らいだ後は、落ちこんでいる様子もないし気に病むこともない。逆に,表情も豊かだし人に悪さをしかけてくることもあったそうです。そのうち歩行できるまで回復しました。
人間だったらどうでしょうか。私でしたら、身の不幸を悲しみ、この原因・犯人探しをはじめ、将来に悲観し打ちひしがれてリハビリは進まなかったでしょう。生きる希望を失いかねません。
お釈迦様は、最初の苦しみ(一の矢)で人間はとどまらず、自分から自分を二の矢、三の矢と打つことにより苦しみが増幅すること、これこそが本質であることを2千数百年前にすでに見抜いていました。ああでもない、こうでもないと過去を憂い、未来を悲観視することを何度も何度も繰り返す。これを仏教では戯論(けろん)といいます。現代人でも夏目漱石は「いらぬ苦しみを捏造するのが人間」と作品中で叙述しています。心理学でも、ループストレスという繰り返し襲ってくるストレスの問題性をスタンフォード大学の心理学者ケリー・マクガニガルは説いています。このループが止まらなければロングストレスという決定的ダメージを受ける可能性があるのです。私のカウンセリングではこの苦しみのループを具体的・効果的に止める手だてをクライエント様とともに共同で取り組んでいます。
