人間は暴力の支配する世界から脱却・進化できるのか?!2 ~生存・安全の欲求から考える~
今回、大変壮大なテーマを取り上げています。どこまでたどり着けるか考察してみましょう。
ソ連の天文学者ニコライ・カルダシェフは、1964年知的生命の発達レベルを3段階で示す指標を考案しました。それが「カルダシェフ・スケール」です。(のちカール・セーガン修正)これは、ある文明のエネルギー源の種類と、それをどの程度利用できているかを基準にしています。例えば、「タイプI文明」は、惑星のエネルギーすべてを利用・制御できる。つまり、化石燃料やウランといった地下資源や、地上に降り注ぐ太陽エネルギーなどを余すことなく利用できる文明です。これによると、今の地球のレベルは0.72だそうです。化石燃料に多くを頼り、CO2等有害ガスを排出し続けるわが文明はまだまだこの基準からはかなり未熟で人類の持続的生存は保証されていません。限りある資源を求め、奪い合う国際社会の現実と人間の知的・意識レベルでは暴力による支配が避けられず、互いに首を絞めあって自らの生存を脅かしているレベルとも言えるでしょう。
このことは人間の根源的欲求を改めて思い起こさせます。お釈迦様は、人間の苦の原因を四苦八苦、特に四苦の「生老病死」にあると喝破しました。更に、その根源は「生」つまり生き延びること、生存欲求にあることを突き止めたわけです。
アメリカの心理学者マズローは人間の欲求段階説(6段階)を唱えました。その1にあるのは生理的欲求(食や睡眠などの生きる根源的欲求)、その2に安全の欲求(危害に侵されない)をあげました。まさに二人の慧眼は根源を見抜いていたわけです。
一国の指導者から、市井の人々まで、先進国・途上国の違いはあっても、生存の欲求が夢や希望・理想の源泉であり、同時に争いや暴力の元にもなりうるわけです。このことから争いや暴力の種を生まない最低限の方策は、すべての人々に生存・安全の欲求を保証できる社会・世界を構築することと言えるでしょう。
北欧やドイツはかつてバイキング・ゲルマン民族(暴力の権化だったかもしれません)を先祖としますが、今や医療費・年金保険料・大学までの教育費等がすべて無料とまで進化しています。(もちろん経済力が背景にあるのですが)。一方、北朝鮮は、国民が極度の貧困にあっても核兵器開発に多額予算を使い、アメリカに対抗し金体制の保持・存続の確約を取るためのカードに使っています。その、アメリカも公的健康保険を確立せず、国民の7分の1が無保険状態です。GAFAMなどとの格差は拡大し、社会の分断は深刻です。ロシアは史上、度重なる侵略を受け、また行い領土保全は国家存続に直結するという恐怖感を指導者がもっています。中国も同様に侵略され、また侵略し、国内の異民族の反乱に苦しめられました。最近では、急激な経済成長であらゆる資源の不足に対処し世界中からの輸入や資源開発協力に血眼になっているのです。
国家レベルから個人レベルまで生存・安全の欲求を満足・確立できる社会システム・国際秩序を構築していこうとする努力が欠かせません。もちろん様々な阻害因子があることは承知の上でこの基本原則に世界すべてが立ち返って指導者と言わず、すべての人々が目を向けて行くことから始めることに尽きると思うのです。
