何が少女を殺人衝動に向かわせたのか その3

(その2から続いて)

それでは、どうすればこんな悲劇を防ぐことができたのか。この事件を受けて、我々はどうすれば今後良いのかを考えていきましょう。今まで悲劇に至る道筋を考察してきたわけですが、問題はどこでこの道をストップさせることができるかということです。ポイントは鬱積した思いを募らせ殺意衝動を抱いたとき、おそらく不満が高まり、苦しみ、悩みつつ、悶々としていた時です。不登校で塾にもしばしば行かず、人との関係作りが不得手だったとすると、ひとり母弟の殺害実行に向けて思い・考えをめぐらせて行った、まさにその時が事件のデッドラインだったでしょう。もし、その思いを誰かが察知できれば、この道程は止まる可能性もあったやにしれません。それは誰に可能性があるでしょう。もちろん、最も身近な家族がよりよいのでしょうが、日頃から母親に自分の思いを表すことができなかった、あるいは忌避していたことが事実だったとして、そして殺害企図の対象者になったことで更に家族は難しくなっていたでしょう。後の他の接点は、学校と塾だけかもしれません。

 私自身、教員時代は、不適応傾向が出始め、不登校化しそうな生徒にとにかく目を配ってきました。生徒のおかれた心理・家庭状況に応じてどんな学習方法、時間帯でもできるだけ柔軟に対応し、登校ができるよう教員チームとして取り組んできました。今や、どの中学校においてもそのような取り組みを行って来ていると思います。現に、この少女も保健室への再登校が週2のペースで行えていたと報道されています。努力されていたに違いありません。

不適応、不登校生の顔を見て、直接関わる機会を何としても工夫して作っていく努力が今の時代必須ということが第一に言えるでしょう。

そして、胸中にある様々な思いを汲み取って行こうとする心がけを積み重ねていくことです。汲み取って受け止めて、心情を理解する努力が第二に必要です。そこに事態改善の糸口があります。

言葉にすると、簡単ですが、これは学校現場にとって大変なことです。やらねばならぬことが山積し仕事に追われながら、時間的余裕がないのに、時間がかかる上記のことを日々行うのは甚だ困難なことです。心身の疲労は教師たちを疲弊させていっているのです。

学校の働き方改革がようやく叫ばれ始めています。疲弊する学校現場だけに上記の重要なことを押し付けてもいいことはないのです。教員志望者は減少の道をたどっています。学校教育力の質低下は避けられぬ悪循環が始まると思われます。外部からのプラスアルファの支援者を更に活用することにより、生徒を保護者を、教師を支援していくことがもっともっと必要だと思うのです。スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカー、教育支援員の増員、勤務日数の増加、スクールローヤー、メンタルサポーター、メンター、チューター、学校支援ボランティアの導入‥‥それは、政治(国と自治体)と行政(教育委員会)の現場理解と財政的支援の努力(厳しい時代ですが‥‥)と学校現場の協力があいまってようやく好循環が始まることが期待できるのですから‥‥。

もちろん、学校以外(児童相談所、相談ダイヤル、人権擁護局等公的相談機関、塾などの民間教育機関等)でも積極的に中学生を含む子供たちを支援していくことで声なき声を聞く努力は加えて大切です。事件を個別に分析することとともに、社会を開いて・つなげて、それぞれの立場で今の努力に加えてできることを考えていくことが大切なことと思います。子供は家庭と学校だけで育つものでなく社会全体で育つものなのですから

未分類

Posted by ジェイ・慈英